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2021年12月2日

【開催報告】JCNE設立5周年事業報告会~5年間の「NPOの組織評価」から分かったことを発表します~を11/19に開催しました

 

 開催概要

JCNE設立5周年事業報告会
5年間の「NPOの組織評価」から分かったことを発表します

日 時:2021年11月19日(金)14:00~16:00 オンライン・無料
参加者:78名
主 催:(一財)非営利組織評価センター
助 成:(公財)日本財団
プログラム:
14:00 ご挨拶 非営利組織評価センター理事長 太田達男
14:05 非営利組織評価センター5年間の事業概要
14:15 第1部「ベーシックガバナンスチェック制度」
    ベーシックガバナンスチェック・レポート概要
    ベーシックガバナンスチェック制度活用団体インタビュー
    ゲスト:公益財団法人ヤマト福祉財団 早川雅人様
15:05 第2部「グッドガバナンス認証制度」
    グッドガバナンス認証・レポート概要
    グッドガバナンス認証制度活用企業インタビュー
    ゲスト:アマゾンジャパン合同会社 片山純平様
16:00 終了

 当日のアーカイブ動画

当日の資料

 

 当日のレポート

 ご挨拶

(一財)非営利組織評価センター(以下、JCNE) 理事長 太田達男
エデルマン・ジャパン株式会社やWorld Value Surveyの調査結果によると、日本の非営利セクターの信頼度は低い状況にあります。JCNEは単に組織評価を行うだけではありません。非営利セクターが信頼性を高め、社会から期待される未来を目標としています。JCNEは試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ認知度を高め、各方面のご協力のもと裾野を広げて参りました。どこまで歩みを進めたか、皆さまのご参考にしていただければ幸いです。

 非営利組織評価センター5年間の事業概要

2つの評価・認証制度
JCNEは「グッドガバナンス認証制度」「ベーシックガバナンスチェック制度」の2つの制度を運用しています。

(画像左)2021年10月末時点で、グッドガバナンス認証
団体は43団体、ベーシックガバナンスチェックは299団体
になりました。評価・認証を受けた団体は全国43都道府県
に広がっています。
(画像右)「グッドガバナンス認証」付与に至るのは、お申込みのうち39%の団体です。評価の結果、基準を満たしていない項目がある場合は認証を取得できません。この数字にはグッドガバナンス認証の難易度が表れています。「ベーシックガバナンスチェック」は、お申込みのうち42%の団体が評価結果を公開しています。評価を受けた団体が非公開を選択するケースや、JCNEの公開要件に当てはまらないケースがあります。この数字には評価結果公開のハードルの高さが表れています。

 第1部「ベーシックガバナンスチェック制度」

ベーシックガバナンスチェックは、「団体が法令・定款どおりに組織運営ができているか」という視点で、当センターが定めた23の評価基準から構成されています。

 ベーシックガバナンスチェック・レポート概要

 対象期間:2016年4月~2021年3月  計5年間

 対象件数:344件(初回の評価確定通知を発送した団体数)

 データ収集方法:ベーシックガバナンスチェック評価確定通知の実績より

 

ベーシックガバナンスチェックの5年間の評価実績に基づく、NPOの実態を発表しました。
定款・法令遵守以上の独自基準としてJCNEが設定した項目について、「基準を満たしていない」と評価が判定された団体が多くありました。
NPOが苦手としているガバナンス第1位から第3位はこのようになりました。

  • 第1位 法令で定められた書類を事務所に備え置き、閲覧可能な状態にあるとともに、定款、役員名簿、事業計画、事業報告書、会計報告書類、役員報酬をウェブサイト上で公開している。
  • 第2位 法定保存文書の保存をしている。
  • 第3位 定款に基づく役員会(理事会、運営委員会等)を年に2回以上開催している。

特に第1位の情報公開は、法令以上の対応を求めていることもあり、「基準を満たしていない」団体が46.2%もありました。JCNEは説明責任や透明性のために、積極的に情報公開をすることを推奨しています。ウェブサイトに公開されていても、わかりにくいところに掲載されている、外部のポータルサイトに掲載されているがリンクが貼られていない状況もあります。

ベーシックガバナンスチェック セルフチェック項目によるNPOの実態
2020年7月にベーシックガバナンスチェックに制度変更したことにより、第三者評価の項目と団体のセルフチェック回答による項目で評価を実施できるようになりました。その結果、セルフチェック項目に基づき、NPOの実態に関する定量的な数値を出せるようになりました。

 対象期間:2020年7月以降より集計

 対象件数:168件

 データ収集方法:ベーシックガバナンスチェックのセルフチェック回答

セルフチェック回答から、NPOの運営実態が分かってきます。
「寄付者や支援者等に、会報誌やSNSをとおして事業の成果を報告している」では96.4%の団体が行っていると回答しました。
一方で、「個人情報保護に関する規程を定め、取得目的を明示している。」は62.5%、「現金の取扱い・資金管理に関して複数人によるチェック体制がある。」は63.6%と、まだまだ課題があるようです。

ベーシックガバナンスチェックを受けた団体の声
評価を受けた団体からは、ありのままの状況を外部の視点から確認できた、という声が届いています。

  • 法人運営において勘違いや間違っていた部分を指摘いただけたことは助かりました。
  • 組織運営について、自身の理解があいまいな部分が多くあったことに気が付いたので、改善していくいいきっかけになったと思う。など

 ベーシックガバナンスチェック制度活用団体インタビュー

助成プログラムでの活用
現在、助成金申請書上で、第三者組織評価を受けているかどうか確認している助成機関・企業が13団体あります。

助成財団インタビュー
助成財団の立場から、JCNEの評価制度に期待することなどを伺いました。

公益財団法人ヤマト福祉財団 早川 雅人氏

評価を受ける団体が増えれば、助成プログラムも変わっていく

「障がい者給料増額支援助成金」「障がい者福祉助成金」の2つのプログラムを運営しています。JCNEの第三者評価を受けている団体は、申請書で申告することができます。
近頃、草の根のNPOから、備品の購入に助成金を使いたいという声が多くあります。「障がい者福祉助成金」は法人格を問いません、“親の会”などの任意団体に対しても助成をしています。しかし、備品購入となると、どの事業所で使うのか、どうやって管理するのか、ということが重要になります。また、その点がはっきりしない任意団体の場合は、「備品の購入には使えませんが、1年間の事業運営には使えます」とお断りをしている状況です。これから申請書の第三者評価の欄が埋まっていくことがあれば、助成プログラムの方も変わるだろうと思います。
10年前の東日本大震災では、ヤマト福祉財団31件の助成を行いましたが、そのうちNPOへの助成は2件のみでした。これからは、もっとNPOが活躍してくれるような社会を目指していきたいと思います。
ヤマト福祉財団ウェブサイト

助成金申請書に第三者評価の項目を記載したきっかけは何ですか?
NPO法人がどのような活動をしているのか、助成財団が確認する手段がありませんでした。内閣府の公開資料も古い場合があります。また、定款があっても、定款に基づく運営ができている団体は多くありません。JCNEの行う組織評価の内容は、助成財団が求めていた情報です。JCNEの評価制度を活用するメンバーに仲間入りができたらと思いました。

 

助成財団の立場から、NPOの評価に求めることはありますか?
東日本大震災の直後には、NPOも色々なトラブルがあったことを覚えています。NPO法人のガバナンスに対する社会的な批判や期待について、JCNEが発信していただきたいと思います。ガバナンスチェックに参加しているNPO法人・助成財団が一層盛り上がっていくのではないでしょうか。

 

ベーシックガバナンスチェックのセミナーはありますか?
ベーシックガバナンスチェックでは、団体が自らの組織運営をチェックできる『ガイドブック』を発行しています。助成プログラムの応募団体向けに、ベーシックガバナンスチェックのお申込み方法説明会も行っています。また中間支援組織とともに地域のNPOに向けたセミナーを行ったり、毎月第2水曜日にはJCNE理事長太田達男によるオンラインセミナーを開催したり、様々な啓発活動を行っています。

 

申請が増えると、多くの評価員が必要になるではないでしょうか?
グッドガバナンス認証の評価を行う評価員は現在21名おり、順次拡充をしています。2021年度は29名の評価員研修生が研修を受けています。おそらく来年度は30名~40名体制での評価が可能になります。より詳細に、手厚く行えるよう評価体制を整えています。
対して、ベーシックガバナンスチェックは小規模な体制で行っています。団体がより手軽に、スピーディに評価を受けられるよう、システム化を進めています。

 

評価・認証団体の数値目標はありますか?
ベーシックガバナンスチェックリストの掲載は1000団体を目標にしています。またグッドガバナンス認証は600団体を目標にしています。例えばNPO法人は20分野ありますので、各分野30団体あればその中から寄付先を選びやすくなります。各都道府県にも認証団体が生まれることで、ふるさとの地域の認証団体を応援することができます。信頼あるNPOのカタログの中から選べる規模として、目標値を定めています。
素晴らしい目標ですね、そうなるようにヤマト福祉財団も協力していきたいと思います。

 第2部「グッドガバナンス認証制度」

 

 グッドガバナンス認証・レポート概要

グッドガバナンス認証の評価基準であるアドバンス評価の過去実績から分かったことを発表しました。NPOが苦手とする基準や改善のために評価を活用した改善事例を公表しました。

 対象期間: 2018 年8月~2020 年 12 月

 対象件数: 50 件(アドバンス評価を受けた被評価団体数)

 

NPOは「コンプライアンス」「事業運営」「ガバナンス」「財務と会計」について、苦手としている傾向があります。対して、前半の基準は得意としており、よい事例が多く見受けられました。
特に苦手としている基準第1位から第3位はこのようになりました。

  • 第1位 中期計画がない。
  • 第2位 労務で不備がある。
  • 第3位 財務諸表の注記がない。

特に中期計画が無い団体は全体の46.0%ありました。NPOは長期的な視野を持つことを苦手としており、中期計画策定のための支援が足りていない状況もあります。また、ビジョンを持っていても明文化できていない団体が多くあります。
労務の不備は41.3%ありました。社労士を雇うのが難しく、またボランティアで働く場合もあるため、雇用契約書や36協定を締結していないという状況があります。
財務諸表の注記を作っていない団体は26.0%ありました。寄付者・支援者に会計の説明責任を果たしていく、主体的な意識を持つ必要があります。

評価は改善のためにするものです。ワースト3のように苦手な基準はありますが、評価を通じて改善してきた団体の事例を紹介します。

NPO法人エヌピーオー・フュージョン長池
グッドガバナンス認証の評価を通して、定款を理事会主導に変更し、より実態にあった運営体制になりました。改革をすることを団体内で決め、ガバナンス改善に取り組まれたことで、「組織の一体感が得られた」「認証取得を周囲に喜ばれてモチベーションアップにつながった」との声をいただきました。

 

NPO法人りんりん
これまで目の前の受益者対応で精一杯でしたが、2~3年先を見通した「長期ビジョン」を策定し組織改善が進みました。Amazon「みんなで応援」プログラムの物品寄付が全国から届くようになり、「寄付してくださいと言いにくかったが、希望が持てるようになった」との声をいただきました。

 

グッドガバナンス認証制度の3年間の取り組みを通じて、評価が組織改善につながるという手応えを感じることができました。

 グッドガバナンス認証制度活用企業インタビュー

グッドガバナンス認証制度のメリット
様々な寄付サイトと連携し、「オルタナ」ではグッドガバナンス認証団体のインタビュー記事を掲載。信頼あるNPOとして社会に情報発信しています。
Amazon「みんなで応援」プログラムとの連携は2020年11月から開始しました。現在、グッドガバナンス認証16団体が参加しています。

企業インタビュー
物品寄付を支援する立場から、認証制度の活用状況を伺いました。

アマゾンジャパン合同会社 片山純平氏

善意の物品寄付 1年間で約60,000点

災害支援など多くの場面で、ほしい物リストを活用した物資寄付の事例があり、こういった活動を企業として応援するためにAmazon「みんなで応援」プログラムを立ち上げました。
動物保護支援、教育・児童支援、アスリート支援などの分野で物品寄付を募集しています。
参加団体・施設は約600、寄付された物品数は約60,000点にのぼります。ひとつの団体・施設に約100点の寄付が集まっています。
チャリティ団体・施設は規模の大小は問いません。ほしい物リストを作成して、審査を受ければプログラムに参加することができます。ただし、善意の寄付を募るため、非営利組織に限っています。グッドガバナンス認証団体はチャリティで活動されていることが保証されているため、審査が免除され、すぐに掲載することができます。
Amazon「みんなで応援」プログラム

 

物品寄付が集中する時期はありますか?
他団体のメルマガやメディア等で取り上げられたタイミングで物品寄付のお申込みを多くいただきます。NHK「あさイチ」で紹介されたときには、大きな反響をいただきました。

グッドガバナンス認証団体の活用状況はいかがでしょうか?
グッドガバナンス認証団体への寄付も集まっているということで嬉しく思います。参加している600団体のうち16団体だけでなく、ぜひ他の認証団体も参加していただき、Amazon「みんなで応援」プログラムと認証団体、どちらも増えていくと良いのではないでしょうか。
寄付者にとっては、NPOの信頼性が気になるところです。Amazonや協力団体で審査を受けた団体であり、物品寄付でもあるという安心感があるのだと思います。
参加団体から、「どのような物品をほしいものリストに登録すれば良いですか?」という問い合わせがあります。グッドガバナンス認証団体の活用方法や知見を共有していただけると、他の団体も参考になるのではないでしょうか。
認証団体の中では、「すぐに必要な物品と、それ以外の物品」と分けてリストに登録しているケースがあり、良い方法だと思いました。
参考URL:
【ご報告】春のAmazon「みんなで応援」プログラム・キャンペーンにおいて、多くの寄付をありがとうございました(グッドガバナンス認証団体)

 

グッドガバナンス認証制度の認知度を高めるうえでハードルに感じることは?
新しい制度には慎重なNPOが多いので、地道な広報活動が重要と感じます。また他の団体や企業と連携していくことで、徐々に認知度を高めていきたいと思います。
Amazon「みんなで応援」プログラムも、今回この場で初めて知った方がいらっしゃるのではないでしょうか。今後セミナーを一緒に行うなど、していきたいですね。

今回のプログラムについて、社内での反応はいかがでしたか?
会社の規模が大きいので、チャリティ事業に限らずなかなか社内でも情報共有しきれない部分があります。担当者ごとにNPOと繋がっている場合があり、今後アドバイスを頂きたいところです。

 

最後にひとこと、本日の感想をお願いします。
前半の内容について、NPOが方向性を見失いがちなところに、評価制度で道筋を与えるという点を「なるほど」と興味深く聞いていました。今後協働を通じて、良い方向に進んでいけばよいと思います。

 おわりに

JCNEの5年間の評価実績を分析し、その結果について皆さまにお知らせすることができました。活用団体・企業のおふたりの温かいメッセージからは、助成財団や企業がNPOに提供する、役立つ仕組みが沢山あることが分かります。評価・認証制度にはNPOの組織改善を促し、助成や寄付システムなどの外部の支援につなげていく役割があると感じました。