非営利組織評価センターでは、組織評価・認証制度の中で、組織評価を受けた団体に対して、ガバナンス・コンプライアンス向上のために、ひな形となる各種書類を作成し、提供しています。
5月は、多くの非営利組織にとって、決算や監事監査の時期となります。非営利組織のみなさまのガバナンス向上の一助となるために、当センターで作成した監事の監査報告書のひな形を公開いたします。こちらの文書を参考にしていただき、適切な監事監査の実施にご活用ください。
- 当センターで使用している監査報告書をもとに作成したひな形です。
- 一般法人とNPO法人では準拠する法令が異なりますが、NPO法人でも問題なくご活用いただけます。
- 監事は法人の業務および会計について監査を行います。業務監査は、法令および定款に則った運営状況と、理事の業務の遂行状況を確認します。会計監査は、適正な会計処理と、法人の経営状況を確認します。
- 監事は常日頃から業務・会計監査を行うものです。社員総会等の前に確認した事業報告書、会計書類の内容だけでなく、1年間を通じた監査の状況を「監査報告書」で報告するようにしてください。
当センターが実施している組織評価・認証制度では、監事の業務に対する評価基準が設定されています。組織評価の中で、監事の業務についての評価を希望される方は、まずは組織評価に関する説明会にご参加ください。毎月、ベーシックガバナンスチェック、及びグッドガバナンス認証の制度説明会を開催しています。
セミナー一覧
組織評価・認証制度の中で、監事の取り組みについて、以下のような評価基準を設定しています。こちらの情報も監事監査の参考にしてください。
◎ベーシックガバナンスチェック
基準6 監事は監査を行っている。
評価団体向けガイドブックより引用
<評価項目概説・判断の指針>
運営・執行機能をけん制する監督機能が適正に働いていることを示すことが重要です。
監事は法人の業務および会計について監査を行います。業務監査は、運営が法令および定款に則って運営されているかと業務の遂行状況を確認します。会計監査は、会計が適切に行われているかと共に法人の経営状況を確認します。
「監査報告書」には実施した監査内容・指摘事項・業務執行状況と財産の状況が適正に報告されているかを記載します。
監査は、監事による監査 → 監査結果の理事会への報告 → それを踏まえた理事会における決算承認 → 総会における決算承認の時系列になっています。
◎グッドガバナンス認証(アドバンス評価)
領域:ガバナンス 基準24
監事は、監査責任や善管注意義務を果たすために、理事会に出席し理事の職務執行や財産の状況を監視している。
評価団体向けガイドブックより引用
<グッドガバナンスの考え方>
非営利組織がゆえに、ガバナンスの観点から監事の監査責任は重大です。理事会に出席し、理事の職務執行や財務財産の状況を監視している必要があります。また、善管注意義務(善良な管理者の注意義務)があります。年に 1 回、監事監査として定められた日に参加し、事業報告書や決算資料を確認することだけが監事の役割や責任ではありません。年間を通じて、理事会への参加や事務局からの情報共有をもとに、業務・会計の両面から組織運営や事業活動のチェックを行う必要があります。
この基準では、監事の理事会への出欠状況や情報の共有方法などをもとに、理事の職務執行や財産の状況に対する監事の監査状況を確認します。それにより、監事の監査責任や善管注意義務の状況を評価します。
監事の役割はガバナンスの根幹に関わるものです。今回の自己評価の結果の共有とあわせて、あらためて監査責任や善管注意義務について、監事に説明とお願いをすることをお薦めします。
なお、監事が業務を実施しているという話しをお聞きすることがあります。監事はその役割から理事や職員を兼職することができません。同様に、業務を委託している税理士や社労士に監事をお願いしているケースがありますが、好ましい状況ではなく、 JCNE としてはガバナンスが果たされていないと判断します。監事は監査をする役職であり、事業を客観的にみることができる立場を保持しなければなりません。
以上
関連リンク
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