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2021年3月24日

【開催報告】トラスト&イノベーション シンポジウム『信頼が非営利組織のブランドをつくる』を開催しました

2021年3月17日にトラスト&イノベーションシンポジウム『信頼が非営利組織のブランドをつくる』を開催し、110名の方にご参加いただき、ありがとうございました。
当日のシンポジウムでのお話の内容をまとめた資料を公開いたします。
また、当日、残念ながらご参加できなかった方のために、アーカイブ動画を公開しましたので、ご覧ください。

報告書 全文はこちら

当日の資料はこちらから
基調講演「2021年エデルマン・トラストバロメーター」コロナ禍での信頼の行方
第2部 トークセッション「「信頼性」で選ぶ協働パートナー最前線」
非営利組織評価センター資料
キーパーソン21資料
日本IDDMネットワーク資料
第3部 パネルディスカッション「信頼とブランド価値を高める協働アクションとは」

 

開催概要
トラスト&イノベーションシンポジウム『信頼が非営利組織のブランドをつくる』

開催日時:2021年3月17日(水)13時30分~16時00分
開催方法:オンライン(Zoomウェビナー)
参加者:110名
主催:一般財団法人 非営利組織評価センター
協力:株式会社 オルタナ、認定特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会
助成:公益財団法人 日本財団

概要
「信頼とは何でしょうか?」というオープニングの問いかけから始まった今回のシンポジウム、総勢110名の方にご参加いただきました。第1部基調講演では日本国内での政府・企業・NGO/NPO・メディアすべての組織への信頼度が低いという結果が提示されました。どこかひとつの組織が発信するのではなく、連携し協働して正しい情報発信を行う必要があります。第2部トークセッションでは、NGO/NPOと企業の協働において、ビジョンの共有と、目標達成に向けて長期的に取り組む覚悟が必要だとお話しがありました。対等に話し合うことで、互いの強みを活かした新しいプロジェクトを始めることができます。第3部パネルディスカッションでは、コロナパンデミックを経てNGO/NPOの社会的役割が広がっている現状を共有しました。そしてNGO/NPOの信頼性が低い日本で、魅力的な組織のありかた(=ガバナンス)を目指すことが社会に信頼を醸成するというお話しがありました。

目次

第1部基調講演 「2021年エデルマン・トラストバロメーター」コロナ禍での信頼の行方
27か国に対してオンラインで行ったアンケート調査「2021年エデルマン・トラストバロメーター」に基づきお話しを伺いました。

エデルマン・ジャパン株式会社 代表取締役社長メイゲン・バーストウ氏(写真左)
ディレクター、コーポレート・プラクティス 加藤 葉子氏(写真右)

 

「信頼」がある組織とは

アンケートは「この組織が正しい行動をすると信頼していますか?」という質問を、自国の政府・企業・NPO/NGO・メディアのグループに分けて行ったものです。
「信頼」がある組織は、本業の目的を達成するうえでポジティブな影響をもたらし、関係者からの共感を得られ、危機的な状況に陥ったときに回復するペースも早くなります。
その組織の実際の行動と耳に届く情報が一致している、そして様々な経路で頻繁に発信し届けていることが信頼の構築に重要な要素のひとつです。執行能力(competence)と倫理観(ethics)が両方ともなっていることが重要だと思います。

2020年の変化は「情報の危機」
コロナ・パンデミックは人を懐疑的にさせ、「情報が多すぎて誰を信じていいのか分からない」という状態になりました。日本では昨年から「企業」「政府」「メディア」の信頼度が下がり、「NGO/NPO」を含める4つの組織が「不信」の領域に入っています。

また世界的に、サーチエンジン、ソーシャルメディアを含めてすべての情報源が過去最低の「不信」レベルまで下落しました。

日本の信頼度は「外からは高い」が「内からは低い」
各国からの日本政府への信頼度は、内からの信頼度と比べると高いといえます。また、各国からの日本企業への信頼度も、経済大国のなかではドイツに次いで2位と高い数値にあります。しかし、日本国内でのNGO/NPOに対しての信頼度は40%と、諸外国と比べて低い数値になります。


メディアへの信頼度も36%と、4つの中で一番低い数値になりました。国外からの日本政府・企業への信頼度は高い、国内からのNGO/NPO・メディアへの信頼度は低いという状況があります。

コロナパンデミックにおける信頼構築に向けて
CEOが強いメッセージを打ち出して社会課題に向き合っていくことが重要です。何かひとつの組織が信頼されているわけではありませんので、単独ではなく、連携を組んでいく必要があります。組織の中でも誰かひとりで行うのではなく、またNGO/NPOや企業等が連携しパートナーシップを組んで合同で情報を発信していく、その際に海外では信頼を寄せて耳を傾けてくれる対象がいると考えると、自信を持って発信ができると思います。

投資家は収益性の期待よりも、「社会的な課題にどう貢献していくか」、「長期的な目線でどのように描いているか」、「どう実現するか」、そのような物差しを投資の判断材料としてこれまで以上に重視しています。企業が社会課題に大きな声を出していくことが求められています。

 

第2部トークセッション「「信頼性」で選ぶ協働パートナー最前線」
協働を通じて社会課題の解決に向かう事例について、非営利組織評価センター山田がグッドガバナンス認証団体のおふたりに伺いました。

(一財)非営利組織評価センター業務執行理事 山田 泰久(写真左)
認定NPO法人 キーパーソン21代表理事 朝山 あつこ氏(写真中央)
認定NPO法人 日本IDDMネットワーク副理事長 大村 詠一氏(写真右)

 

見えづらいNPO運営を可視化した「グッドガバナンス認証」
この10年で寄付が増えているにも関わらず、NPO法人の解散が加速し、2018年からは解散数が設立数を超えています。またNPO法人運営の実態が公開情報からは見えづらいという状況があります。非営利組織評価センターは「グッドガバナンス認証」制度を通じて、書面評価・訪問評価を行い一定水準以上のレベルの団体を認証しています。非営利組織の信頼性がひとめで分かるマークとして、Amazon「みんなで応援」プロジェクトや、遺贈寄付で活用されています。(山田)

キーパーソン21「わくわくする思いをもった主体的な人」をALL JAPANで育てる

子どもたちの自己肯定感や意欲が低いと言われるなか、「わくわくする思いをもった主体的な人」を育てるという目標に挑戦しています。この人づくりが、結果的にさまざまな社会課題解決に繋がると考えます。そのためには子どもたちにあらゆる大人が関わり、引き出す・認める・伴走するという力が求められていると思います。(朝山氏)

日本IDDMネットワーク 協働で患者・家族の「孤立」を防ぎ、1型糖尿病根絶を目指す

不治の病「1型糖尿病」の患者と家族を支援し、「治らない病気」から「治る病気」にすることを目指しています。相談対応で「救う」、患者・家族をあらゆるステークホルダーと「つなぐ」、研究機関へ助成を行い「解決する」活動を行っています。(大村氏)

NGO/NPOとのプロジェクトを通じて企業と社員が成長する
協働企業のカシオは「①地元に貢献したい」「②社員の成長」「③サスティナブル企業としてブランドを築きたい」という思いがありました。渋谷区の本社から隣の学校の窓が見えるのに、お互いがどんな人がいるのか分かりませんでした。また仕事に悩んだ社員が、新しい柔軟な考え方ができるようになります。子どもたちも就職先として、その企業がよりよい社会をつくろうと真剣に取り組んでいるかどうかの視点を重要視しているため、企業にとってブランドづくりの関心は高まっています。「わくわくエンジン」を育てるプロジェクトは子どもだけでなく、大人にとっても意味があります。(朝山氏)

小回りが利く・当事者とつながるNGO/NPO の強み
協働のきっかけは自分たちから持ち掛ける、企業から声をかけていただく、両方のパターンがあります。カバヤ食品が1型糖尿病患者に必要な「ジューCグルコース」という商品を販売されていますが、私たちはジューC発売50周年のタイミングで協働の提案を行いました。患者・家族からアンケートを取り、少ない本数でのセット販売を行ってほしいという声を届けました。

また、宮田運輸とは、トラックに1型糖尿病の子どもたちが描いた絵をラッピングして病気を知ってもらうというプロジェクトの実施に向けて協働中です。元々は低糖質クリスマスケーキを1型糖尿病の子どもたちに届けるプロジェクトがあり、そのケーキの運送をきっかけとして宮田運輸との協働が始まりました。NGO/NPOという小回りが利く、当事者の声を聞ける組織と協働することで、企業理念の実現を後押しできると考えます。(大村氏)

ビジョンの共有と共感、共通の目標達成で信頼を築く
NGO/NPOと企業の協働は夫婦のようなもので、ビジョンの共有と共感が重要だと思います。その共有が浅いと、担当者の変更や、売り上げ、インパクトを優先するなどの理由で社会課題が解決されないまま連携が止まってしまうことがあります。パートナーとして対等であること、そしてどのような社会を一緒につくろうとしているかの大きなビジョンのところでNGO/NPOと企業の経営者とで大いに共感できていることが強い信頼関係を築くためにとても大切です。(朝山氏)

年次報告書「1型糖尿病[IDDM]レポート」を作成しています。年間の資金の使い道、団体の目標の達成度合いを公開することで、支援者に安心いただくことができます。協働の点ではこちらからプロジェクトを提案するようになり、団体の強みを活かせるようになりました。目標を定め、必ず達成するという思いでプロジェクトに取り組むことが重要です。(大村氏)

「ひとつの組織」で解決できる社会課題は残っていない
企業が元気になることで社会が元気になると思います。そして子どもたちは未来の企業を担う存在でもあります。企業の人たちともっと話し合いがしたい、と思います。どんな未来をつくりたいのか、何が必要なのか、もっと一緒に考えてともに進んでいきたいと思います。(朝山氏)

インスリンが「出ない」1型糖尿病の患者が救えれば、インスリンが「出るけど少ない、働きが弱まった」多くの2型糖尿病の人々も救うことに繋がります。私たちは1型糖尿病が治る病気に変わり、そして根絶を達成して解散することを目標にしています。日本が1型糖尿病の治る国になれば、世界に対してその成果を輸出することも考えられます。社会課題の解決から、日本の産業へとつなげていけるのではないでしょうか。今の課題の多くは、今までのやり方では解決できないものだと思います。(大村氏)

 

第3部パネルディスカッション「信頼とブランド価値を高める協働アクションとは」
メディア・企業・助成財団・NGO/NPO支援団体の異なった視点から現在の支援の状況と、社会全体で進むべき協働のアクションを考えました。

 

モデレーター:サステナブルビジネスマガジン『オルタナ』編集長 森摂氏(写真左上)

パネリスト: 

認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 代表理事 鵜尾雅隆氏(写真中央上)

(公財)助成財団センター 理事・事務局長 花崎和彦氏(写真右上)

株式会社セールスフォース・ドットコム Salesforce.org(社会貢献部門)ディレクター 松山亜紀氏(写真左下)

(一財)非営利組織評価センター理事長 兼 公益法人協会会長 太田達男(写真中央下)

 

コロナパンデミックでNGO/NPOの役割が広がった
コロナパンデミックで日本に元々あった課題が顕在化しました。顕在化した問題のひとつは「孤立・孤独」です。OECDで日本での孤独率が世界一位という結果がでました。また日本でも2021年2月に「孤独・孤立対策担当室」が設置されました。2008年にイギリスで戦略ペーパーを立てています。そのひとつの柱が「NGO/NPOとの協働」です。その理由は、NGO/NPOが孤立・孤独の改善を自然と行う組織だからだとされています。元々資源を持たない組織はボランティアや地域の方々が関わっていきます。日本でNGO/NPOの信頼性が低いという結果が出ていますが、それは個々の努力では限界のあることです。NGO/NPO全体で取り組むべき課題です。(鵜尾氏)

企業にとって、社会貢献の取り組みを示し、目標やビジョンを明らかにして発信することが重要です。セールスフォースは創業当時から「ビジネスは社会を変える最良のプラットフォームである」を理念に掲げて1-1-1モデルを行っています。セールスフォースは「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を進める企業として、今回のコロナ禍で、仕事もボランティア活動もすべてオンラインになりました。NGO/NPOのみなさんにお話を伺う中で、事務手続きのオンライン化、そしてオンラインでの活動をどのように行っていけばいいのかなどのご相談が増え、ある意味、非営利セクターでもDXに対する課題に直面したのが今だと思っており、その中で、どのように非営利のみなさんとの関係性を築き、サポートできるかが、企業にとっても問われていると感じます。(松山氏)

助成財団はメセナやCSR、ブランド・マーケッチングが目標ではありません。出し手である助成財団は、その使命である「法制度の谷間の方々の支援に柔軟に対応する」ため、その知見を活かし、受け手であるNPOと真のパートナーとなって、ともに社会的課題の解決に継続的に取り組んでいくことを追及しています。当助成財団センターは、中間組織として、助成財団が時代の要請に応え新たな課題に積極的に取り組めるよう、助成プログラムの見直しや進化を支援しています。想定外のコロナ禍、助成財団とNPOともに、エンデミックなものとして対応することが必要です。NPOでは、情報収集・発信力により二極化し、連携や活動ができず、孤立する団体が見られます。一方、助成財団として、助成プログラムを柔軟に組み替え、よりNPOに寄り添うことが求められています。そこでは情報収集・発信できるか、アウトリーチできるかどうか、という点が重要だと思っています。また、当助成財団センターでは、「助成する側(出し手:助成財団)と助成を求める側(受け手:NPO)の情報交流」のため、WEBサイトを通して約1500団体の助成プログラムを提供しています。(HP閲覧者数2019年度49万件)(花崎氏)

コロナパンデミックで格差が拡大した中で、NGO/NPOのフィールドは広がったと考えます。利他主義で局所的に動けるNGO/NPOはコロナパンデミックにおいて期待が増したセクターであると考えます。アメリカではバイデン政権の予算にNGO/NPOの自由に使えるお金が含まれているので、日本においても政府の協力を求めていきたいところです。(太田氏)

パートナーシップを築くための、「多様な接点」と「しなやかさ」
セールスフォースの創業者マーク・ベニオフの「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という理念に基づき社会貢献活動を行っています。私どもの場合、信頼を築いていく過程としては、NGO/NPOに自社製品を実際に使っていただくことから関係が始まりまることが多いです。その中で「他にお役に立てることはありませんか?」と伺ってボランティアを始め、ビジョンを共有したうえで更に大きな助成金を提供する場合があります。私どもはそのような接点をいくつも持っているという点で特徴的だと思いますが、接点のない企業のみなさんにとってはグッドガバナンス認証制度のような取り組みは、信頼性を担保するという点で貴重だと思います。(松山氏)

助成財団の助成は、想定外の事態や危機的な状況下での国や地方公共団体、企業等の支援のような即効性はありませんが、社会的課題の解決に継続的に取り組んでいくことで効果があると考えています。併せて、これからも危機が繰り返すことから、想定外の状況で対応できる「しなやかさ」が求められる時代になったと思います。助成財団がその知見を活かし、コロナパンデミックでもNPOが活動を止めることのないように支援していく。NPO・助成財団ともに、時代の要請に応え新たな社会的課題に対応できるよう情報収集・ニーズ把握を行い、助成プログラムの深化・進化を図る。助成財団側も応募数などで助成プログラムの有用性が把握できますので、助成プログラムを見直し・更新させていくことが重要です。(花崎氏)

NGO/NPOの信頼性が低い日本でこれから「信頼3.0」を目指す
スイスの調査機関「World Value Survey」でも日本のNGO/NPOへの信頼度が非常に低いことが分かっています。2010年から2019年にかけて信頼度は上がっていますが、合計がマイナス(信頼しない)になっている国は他にありません。(太田)

各国でNGO/NPOの信頼と成長が違うのはなぜか、その要因のひとつは「経験」です。NGO/NPOによって救われたという社会の経験が信頼に繋がります。おそらく日本では震災経験を重ねるたびに、徐々にNGO/NPOが役にたったという経験が積み上がり、信頼が醸成されてきたのではないでしょうか。

私たちの研究によると寄付を行う人は年間平均3~4団体に対して寄付を行っています。そのため1つの団体で裏切られる経験をすれば他の団体にも寄付しなくなってしまう。やはりNGO/NPO全体が協力しなければならない課題です。

また全体投資額の1/3がESG投資と言われていますが、そのGとはガバナンスを指します。「信頼1.0」が単に統治されている状態だとすると、「信頼2.0」が素敵に運営されている状態、「信頼3.0」が一緒に仕事をすると協働先が良い影響を受けモチベーションアップにつながるような状態だと考えます。(鵜尾氏)

NPOが生き残れるのか、サスティナブルな活動を続けられる組織であるかという観点で、ガバナンス評価は有効だと思っています。まずは会計の透明性です。まだまだNPOの中にはNPO会計基準に沿っている団体も多くありません。そして欲をいえば、時代の要請に応え、持続的に成長していく体制の構築に向けて、特に、関係者を含めた、透明性の高いリーダーシップを備えて欲しいと考えています。アドバンス評価にもあるように、今のステージから新たなステージへの進化を実現するマネジメント、トップダウンとボトムアップの融合やユニークな視点や創造性の醸成を通じた、チャレンジし続ける組織運営が可視化されている状態が良いと思っています。(花崎氏)

透明性という点ではNGO/NPOだけでなく企業を含めた社会全体の課題であるといえます。(森氏)

社会課題に直面して変わるNGO/NPOとガバナンス
コロナパンデミックで資本主義の形が変わりつつあります。それは信頼に基づく資本主義です。その信頼とは組織のガバナンスのありようです。NGO/NPOが信頼を高めること、つまり組織としてのありようをどう進化させていくのか、という点で社会にNGO/NPOが示していけると思います。(鵜尾氏)

NPOのガバナンスについて評価制度の活用を推進していきたいと思います。助成財団側が、NPOの「育成から成長」や「持続的発展」の各ステージに寄り添った支援ができるように、単に専門的なキャリアスキルだけでなく、評論家的でない当事者意識、責任感あるインテグリティーを持ち、活動現場に寄り添う当事者として一歩進んだ変革が求められているかなと思います。(花崎氏)

NGO/NPO・企業ともに取り組んでいる事業の説明責任・透明性が必要だと思っています。私どもとしても、NGO/NPOとの協働の中で、一緒に考え、ビジョンの共有や、データなどを活用して可視化するプロセス自体を共に作り、信頼を築いていきたいと思います。(松山氏)

NGO/NPOは自由に機敏に動ける、創造的・未来指向的、失敗を恐れないという性格を帯びているにも関わらず20年前は国の省庁の管理下に置かれていました。NPO法、公益法人改革を経て自由な運営ができるように進みつつあります。かつては厳しい寄付税制しかありませんでしたが、今は世界に冠たる税額控除の仕組みがあります。今はもう制度のせいにはできなくなりました。これからはNGO/NPOが本来の特徴を発揮して、執行能力(competence)・倫理感(etic)を両輪に活動していく場が広がっていくと思います。(太田)

シンポジウムの最後に
コロナパンデミックで情報・組織への信頼性が低下しました。今までの社会課題に加えて孤立が広がる中、NGO/NPOを含め各セクターの強みを活かした協働で解決に取り組む必要があります。単に法令遵守に留まらない「魅力的な組織の在り方(=ガバナンス)」がこれからの協働を推し進めるのではないでしょうか。