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2024年5月13日

【お知らせ】当センター業務執行理事 平尾の査読付き論文が学術誌に掲載

当センターの業務執行理事 平尾剛之が執筆した、寄付の行動分析に関する査読付き論文が、学術誌に掲載されました。論文の中では、当センターの設立経緯や評価事業などについても詳しく紹介されています。

■論文タイトル
「民間性,非営利性,公益性の観点から考察する寄付の行動分析―社会から信頼される非営利組織のガバナンス―」

■掲載誌
龍谷大学政策学論集 第13巻 第2号(2024年3月)pp.21-40

■要旨
近年,自然災害,貧困,孤独・孤立,差別,環境,人口減少など,多様な社会課題の解決に取り組んでいるのは,政府や行政機関だけではなく,多くの民間非営利組織が活躍している。その財源は税金だけではこと足らず,社会から寄せられる寄付支援に関しても高い期待と関心がもたれてる。

本稿は,日本社会における寄付行動の先行研究から,研究の主流となっている寄付者のリテラシーと共感を前提とした寄付行動について「共感型寄付」として定義する。社会の公器としての要素が強い「公益財団法人京都新聞社会福祉事業団」を対象とした調査事例を検証することで,寄付者のリテラシーを前提としない共感を伴わない(介さない)寄付行動という,もうひとつの寄付の在り方があることを提示し,それを「信頼付託型寄付」と定義する。

日本社会は寄付という行為に対してはまだまだ不寛容な側面がある。したがって,過度に寄付のリテラシーを求めすぎると,その能力を発揮できない寄付行動に対してハードルを高くする可能性がある。また,潜在的寄付者に対しては,多様な社会課題に向き合い活動する組織・団体の支援環境へのエントリーの阻害要因ともなる。

寄付行動に対するハードルを下げ,寄付文化のさらなる醸成と発展に寄与するためにはどうしたらよいのか。本稿は研究の主たる対象を寄付者ではなく,その寄付行動の受け皿となる民間非営利組織(NPO)として,「信頼付託型寄付」の付託先となる組織に求められる素養を議論する。もっとも効果を上げることが期待できる団体・組織として,民間性・非営利性・公益性を担保した「民間非営利公益団体」を提示し,そのうえで,寄付行動の受け皿となる民間非営利組織(NPO)の信頼性を社会と共有するためには,組織への認証評価を社会システムとして定着させることが必要であると論じる。そしてその可能性を「公益財団法人日本非営利組織評価センター」の活動に見出している。