2022年5月から2023年2月の毎月第2水曜日10:00からの連続講座”ガバナンス太田塾「非営利組織経営の在り方」“の全10回の開催を終了しました。当初の塾生の定員は20名でしたが、好評につき40名に大幅に増員して実施しました。
塾生の皆さんは、全10回参加された方も複数名おり、「非営利組織経営の在り方」についての根幹となる考え方を学びました。ガバナンスの理解を進めるために、学びの先導役として、長年、非営利組織のガバナンスの向上に取り組んできた当センターの理事(前理事長)である太田 達男が講師役として、学びのナビゲーションを行いました。あわせて、みなさんの疑問やお悩みにもその場でお答えしました。
最終回となる2023年2月8日(水)の回では、フリーディスカッションの時間を設け、日頃悩んでいるガバナンスについて、塾生同士で知恵を出し合い、事例共有などを行いました。
2023年2月8日(水)実施の模様
<実際、このようなことを塾長の太田と塾生で話し合いました>
Q 代表理事の利益相反取引について、NPO法人の場合は副代表理事が団体を代表して理事会、契約を結ぶことが多く、特別代理人を立てることはほとんどないようです。所轄庁からもそのような説明を受けていますが、特別代理人を立てるのは具体的にどのような場合でしょうか?
Q 「現金主義」と「発生主義」については、月例の支払いについては、発生主義をとっていますが、会議費としての飲食などの細かい費用は、事前に詳細な金額がわからないため、申請された費用を支払う際の現金主義をとっています。金額確定後に未収金での仕分けをするなど、どこまで細かくするべきなのか、悩みます。
Q 競業避止について学びたいと思います。
Q 一般法人電磁的記録の書面交付請求 ができるのに公益法人の場合は謄写請求はできないとのことですが、公益法人は誰にでも公開しなくてはならな いことからきているのでしょうか。社員・評議員・利害関係者も謄写請求は認められないのでしょうか。
<セミナー参加者からの感想抜粋>
●会計処理につきましては、監事へ残高証明書を直接郵送する件にあわせまして、発生主義の認識を改めて考えるようにしたいと思いました。現在、基本的には発生主義で処理をしておりますが、軽微な支出などは折衷的で処理をしております。また、理事や監事の海外との比較については前提条件を学んだうえでと反省しております。
●業務執行理事の意味を間違えてとらえていました。正しい意味が分かってよかったです。
●監事の役割の重要性について、再度認識ができまし た。業務を知らないと監事職は務まりませんが、あまりに理事と近しい関係になると、忖度してしまい業務執行ができなくなる。現在、所属して いる法人では、監事職について業界内の充て職くらいに考えて全く知識も経験もな い人が、順送りで長らくやっ てこられました。
●「李下に冠を糺さず」は常に肝に銘じ ておくようにしたいと思いました。
●ガバナンスの意味・役割の理解ができてとてもすっきりしました。ありがとうございました。
●特定非営利活動法人で活動していますが、法律的にどうかということと、運用上どうかということを混同しがちなことに気がつきました。
●損害賠償責任で、役員賠償責任保険で賠償リスクカバーできることを知りました。
<意欲的に参加された塾生に「修了証書」を授与>
全10回の内、意欲的に参加された塾生に、このような「修了証書」を授与しました。
何かの資格を証明するものではありませんが、自主的に非営利組織経営の在り方を学び、非営利組織のガバナンスについて基本的な知識を学んだ証としてお渡ししました。
塾生の皆さんには、「非営利組織のガバナンス」について学んだことが、今後ご自身の団体での組織運営等でいつの日かお役に立てることを期待しております。
また、塾生は非営利組織のガバナンスを学ぶという共通の目的で顔馴染みとなった仲間です。日頃の組織運営等でお悩みになられた際は、気軽に情報交換できるような、そんなご関係になられていると嬉しく思います。
<塾長 太田よりコメント>
2022年5月から今年2月までの10回にわたるJCNE主催ガ
少しでも皆様の非営利組織経営にとってお役に立てれば幸いです。私自身も、
ご参加いただいた皆様に心からお礼申し上げます。【塾長 JCNE理事 太田 達男】
■開催概要■
日時:2022年5月~2023年2月 毎月第2水曜日10:00~11:00(開場09:50)
第1回目は5月11日(水)10:00~11:00
場所:Zoom(オンライン)
対象:非営利組織でガバナンスに携わっている方や、ガバナンスについて学びたい方。
主に次のような方を想定しています。
①ガバナンスの業務に携わっている人(事務局や総務部門)
②非営利組織の理事や監事
③中間支援組織や助成財団の関係者
参加条件:年間を通じて参加できること
※欠席の場合はプレゼン資料のみの提供で、録画配信は実施しません。
参加費:無料(要事前申し込み)
主催:(公財)日本非営利組織評価センター
助成:(公財)日本財団
<講師・ナビゲーター>
太田 達男
(公財)日本非営利組織評価センター 理事/(公財)公益法人協会 前理事長 現会長/(公財)成年後見センター・リーガルサポート 理事/(公財)日本フィランソロピー協会 理事/(公財)渋沢栄一記念財団 監事/(公社)日本アイソトープ協会 監事
信託銀行役職員を歴任、44年間の信託マンとしての経歴に終止符を打ち、2000年4月より財団法人公益法人協会理事長、現会長。公益法人制度改革では、2000年法制審議会民法部会の法人制度分科会を皮切りに、公益法人制度の抜本改革に関する懇談会委員や民間法制・税制調査会座長代理として、終始市民社会の立場から提言活動を行う。
<各回のテーマ>
第1回:5月11日(水) オリエンテーションと自己紹介
第2回:6月8日(水) 非営利組織経営の基本形、ガバナンスとは
第3回:7月13日(水) 理事の役割・義務・責任
第4回:8月10日(水) 監事の役割・義務・責任、役職員との関係
第5回:9月14日(水) 会員と評議員の役割
第6回:10月12日(水) 不詳事件はなぜ起こるーその防止策
第7回:11月9日(水) 利益相反と競業避止
第8回:12月14日(水) 情報公開のルール
第9回:1月11日(水) 役員が知っておくべき会計と税制の基礎知識
第10回:2月8日(水) 1年の講座を終えてフリー討議