非営利組織評価センターの組織評価・認証制度について、助成プログラムでの活用が少しずつ拡がっています。助成金申請書で組織評価の実績を記載したり、助成決定した団体にベーシックガバナンスチェックを受けてもらうなど、助成財団と連携しています。
そこで、組織評価をすでに活用して、あるいはこれから活用して組織基盤強化を図りたいと考えている団体を対象に、組織基盤強化の観点から助成金の活用をお伝えするセミナーを開催しました。
第5弾は「申請事業の作り方」です。
ふだんの事業をそのまま助成申請書に記載しても、なかなか採択にはなりません。やはり、助成プログラムに適した事業に整えていく必要があります。これまでの講座では、募集要項の読み方や対象事業の考え方をお伝えしてきましたが、今回は「申請事業の作り方」を解説します。投資としての助成金、社会課題の捉え方、対象事業に基づく事業内容、事業成果の活用、自己財源化などの視点から紐解いていきます。申請事業の作り方のポイントは、助成プログラムが意図することを理解するものであり、NPOとしては自分たちの事業をよりよいものにしていくヒントになります。次につながる活動、団体の発展につながる活動を意識した事業作りです。
助成事業の実施を通じて組織基盤強化を行うために、どのような事業を計画すればいいのか?
助成金を活用するために大事なポイントをお伝えします。あわせて、組織評価による団体の基盤強化についてもご案内いたします。
講師は長年、全国各地で助成金セミナーの講師を務めてきた当センター業務執行理事の山田泰久が担当します。
★当センターと助成財団との連携については、こちらをご覧ください。
助成金の申請をお考えのNPOのみなさまへ
https://jcne.or.jp/banner-npo/
JCNE助成金活用セミナー「申請事業の作り方」
日 時:2022年8月9日(火)13:00~14:00
場 所:Zoom(オンライン)
対 象:以下の3つの条件、すべてに当てはまる団体関係者
①法人格のあるNPO(NPO法人、一般法人、公益法人、社会福祉法人)
②団体や事業の成長のために助成金を活用したい団体
③JCNEの組織評価を活用して組織基盤強化を図りたい団体
参加者:26名
主 催:(一財)非営利組織評価センター
助 成:(公財)日本財団
<レクチャー内容>
「申請事業の作り方」
講師:山田泰久(当センター業務執行理事)
・投資としての助成金
・社会課題の捉え方
・対象事業に基づく事業内容
・事業成果の活用
・自己財源化、事業収入、継続性
などなど
セミナーのプレゼン資料(ダイジェスト版)
https://jcne.or.jp/data/jyosei_20220809.pdf
ベーシックガバナンスチェックの説明資料
https://jcne.or.jp/data/JCNEbasicVer.02.pdf
今回は参加者の中から、三宅さん、野村さんのお二人に開催レポートを作成していただきましたので、掲載いたします。
(三宅さん、野村さん、ありがとうございました。)
①全体の感想
前回のセミナーの内容を受けて、さらに、突っ込んだ内容になっていました。
具体的には、助成団体と助成金を申請する団体の認識の違いにスポットライトを当てて、説明していただきました。
多くの場合は、申請者は、自分が書きたい内容を書く傾向があると思っています。
しかし、助成財団の視点がなければ、採択率が上がらないかと思いました。
申請者は、助成団体におもねると自分達のやりたい事業ができなくなるのではと思っているようです。
その意味で、利害関係を調整して、まとめ上げるスキルが必要かなあと思いました。
②セミナーの中で印象に残ったこと、勉強になったことなど
1.支援活動の事業化:それぞれの成長Phaseに資金調達の戦略が必要となります。
2. 助成金の消費計画と消費後のリターン計画が必要。助成金は、消費だけに止まらず、投資となる仕掛けを考える必要があります。
3. 資金調達を継続するものと単発なものに分けて、それぞれを組み合わせて、事業を考える必要があります。
4. 助成金は、助走金である。自走への足がかりとなるように、使い方を考える。
5. 申請書の内容がわかりやすいと採択率が上がります。わかりやすいとは、よく考えられているということです。
(作成:三宅さん)
①全体の感想
日々の情報発信や助成金申請の機会を活用して、自分たちの活動の目的や構造、価値を端的に伝える「分かりやすい説明」を磨いていくことがいかに重要かを感じました。
普段は、目の前の活動のことで手一杯になりがちだと思います。助成金申請の機会を活かして、自分たちの事業の将来像を明確にしていく時間を取ることもまた、重要だと思いました。
そうしたことが結果的に、自分たちの活動の磨き込みや、確度の高い助成金申請に繋がることを実感しました。
助成金申請では、上記に加えて、助成事業の目的、対象としている団体/事業の規模、期待される効果を正確に理解することが重要であることも、セミナーを通してよく理解できました。助成事業は「マッチング」であること、助成財団の期待を正確に汲み取って、自分たちの事業がそれに合っているように上手くプレゼンテーションすることが重要だと感じました。募集要項や過去の助成実績だけでなく、助成金額もそのヒントになるということは、目から鱗でした。
②セミナーの中で印象に残ったこと、勉強になったことなど
1. 普段の情報発信と、助成金申請は共通する部分もある。
→自分たちの活動をいかに平易な言葉で簡単に伝えられるか、ということを、普段の情報発信から意識し、言葉にしていくことが重要だと思います。
2. 事業全体に対して、うまく切り分けて資金調達していく。補助金・助成金なのか、クラウドファンディングなのか、行政との協業を目指すのか、事業収益化を図るのか。その資金の性質と、自分たちの事業のステージを考慮して資金源を考えることが、確度の高い助成金申請にも繋がる。
3. 普段の「活動」から、特別なものを「事業」として抜き出す。てんこ盛りではなく、対象がフォーカスされた事業や、特に力を入れたい事業を計画し、申請する。
→審査側の立場からすると、「どこにでもある(ように見える)活動」だと助成しづらい、ということも意識しなければならないと感じました。
4. 助成財団の意図を意識して、申請事業を見極める。その尺度として「助成金の決定額」が活かせる。決定額から逆算して、助成財団が期待している事業の規模(支援の成果として、どういう結果に繋がることを期待しているか)がわかる。
5. あとに残るもの(仕組み・ハードなど)を、助成金があるうちに仕込んでおくことが重要。
6. 分かりやすい申請=活動が「単純に説明できるもの」まで削ぎ落とされている。
7. アイデアをもとに提供する機会が、ニーズと合っているのか。活動の中でフィードバックを得ながら、これを単純化できるように考えることが重要。
(作成:野村さん)
以上