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2022年4月24日

【開催報告】NPOの監事のためのMeetup Vol.04「監事監査の前に・・・」を2022年4月21日に開催しました

2022年4月21日(木)夜に、オンラインでNPOの監事のためのMeetupの第4弾を開催しました。

今回は「監事監査の前に・・・」がテーマです。
3月末決算の団体にとっては、4月後半から5月が監事監査の時期です。
事業報告・決算書を確認する監事監査の前に、その方法・内容が適切かどうか、みんなでチェックしてみようという趣旨で、監事の人も、監査される側の理事の人も、監査の窓口になる事務局の人も、監事監査の方法・内容について、一緒に確認する機会となりました。

NPOのガバナンスにとっては「監事の役割が大事」と言われることが多いです。しかし、監事自身が、監事としてどんな役割を果たせばいいのか、学ぶ機会はあまりないのが現状です。そこで始まったのが「NPOの監事のためのMeetup」です。

今回は、昨年JCNEが作成した「NPOの監事ハンドブック」の決算時の監事監査の実態調査をもとに話題提供を行い、参加者の疑問・質問をみなさんでディスカッションしていきました。後半は、少人数のグループにわかれて、それぞれの団体の実際の監事監査の状況について共有しました。

NPOの監事のためのMeetup Vol.04(オンライン)
「監事監査の前に・・・」

日 時:2022年4月21日(木)19:00~20:30
場 所:Zoom(オンライン)
対 象:NPO(非営利組織)の監事、監事と関わりのある理事や事務局の方、中間支援組織の方など
参加者:36名
主 催:(一財)非営利組織評価センター
助 成:(公財)日本財団

<参考資料>
◎監事の監査報告書(ひな形)の公開
https://jcne.or.jp/2021/05/11/auditorauditreport/

◎ガバナンスの要の監事の役割を解説した「NPOの監事ハンドブック」
https://jcne.or.jp/2021/07/13/npo-auditorhandbook/

<スケジュール>
19:00 オープニング
・趣旨説明
・本日の流れ

19:05 話題提供(当センター業務執行理事 山田泰久)
監事監査実態調査をもとにした方法・内容(NPOの監事ハンドブックより)
・新型コロナの状況でどのように実施しているか?
・決算の監事監査では、どのようなことを確認しているのか?
・会計監査と業務監査、具体的にやるべきことは?
・監査報告書で記載すべきことは?

【プレゼン資料】
https://jcne.or.jp/data/jcneauditormeetup04.pdf

19:25 みんなで質疑応答タイム
・参加申込時の質問やその場での質問について、みんなで質疑応答

19:55 グループでシェアタイム
・Zoomのブレイクアウトルームでグループにわかれてシェア
・グループは、監査を行う監事と、監査を受ける理事・事務局にわけて

20:15 全体シェアタイム
・グループでのディスカッションをみんなで共有

20:25 クロージング

20:30 終了

 

■イベント内での質疑応答やディスカッション

1.監事監査は決算理事会の前に実施するか? 決算理事会の後に実施するか?

法令や定款で詳しく決まったものでないが、決算理事会の前に監事監査を行った方がよい。決算理事会では、総会に付議すべき事項を審議することになるので、監事監査で決算書類や事業報告書に問題がないかを事前に確認をしてもらう必要がある。また、理事会後の監事監査では、監事監査で理事の業務執行を監査した結果を理事会で共有する機会がなくなってしまう。

2.監事が法的な責任を負った事例はあるのか?

代表理事や理事の場合、事業の安全管理などの面で損害賠償を負ったという事例は聞いたことがあるが、NPO法人の監事については事例を聞いたことがない。

3.地方だと、監事のなり手がいない。士業の方にお願いできない時はどうすればいいか?

地域のNPO法人の場合、自治体職員・OB(書類のことをよくわかる)や、他のNPO法人の経営者(NPO法のことを知っている)が監事をしているケースがある。士業でのなり手を探すのは難しいようである。行政は、市民活動をされている行政の方々にお願いしていることが多い。
小さな団体(任意団体かNPO法人になって数年くらい、少人数で運営)の場合、会計士・弁護士などの知り合いもおらず、監事を頼める適切な人が周りにいない…ちょっと会計がわかるくらいの知り合いに頼む、というケースががあるそう。

4.NPOにおける不祥事は?

NPOの不祥事で多いのは横領のケース。横領防止のために監事監査が大事である。最近は、ハラスメントの事案が増えている印象。
参考情報:ウォロ 2・3月号特集連動セミナー「不祥事の防止と対策」
https://osakavol.org/news/news/news_220425.html

5.NPO法人でも、ハラスメント対応はしなければいけないのか?

法律改正によって、2022年4月1日より、中小企業の事業主(使用者)はパワーハラスメント防止の対応をしなければいけない。雇用しているNPO法人もこの対象になる。セクハラ等については、以前から防止対応をしなければいけない。
参考情報:厚労省の紹介
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf
参考情報:あかるい職場応援団
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

6.ハラスメント対応について、雇用ということは、ボランティアは対象外となるのか?

このポイントは、NPOのハラスメント対応の課題である。現状は労務に関する法律でハラスメントの規定がなされているが、無給職員、業務委託やボランティア、インターンなどが対象外になってしまう。雇用とは関係なく、対象を拡大して考えていかなければいけない。

7.事務局または役員の親族などで会計に明るい人に監事を頼むことは可能なのか?

法律や定款では、特に禁止されていない。しかし、監事は独立性や公正性が求められる。代表理事の家族・親族が監事だった場合、何か問題があった時に適切に指摘をすることができるのか、独立性や公正性が担保出来ない可能性がある。また、外部から見た時の説明責任も大事。

8.利益相反の範囲は、親族等、どこまで利益相反に該当するか?

利益相反は、基本的に役員に対するものである。親族等が取引先だった場合は対象外という考え方もあるが、これも説明責任として外部に説明できるかどうかという視点で考えてはどうか。特に役員の家族が取引先であれば、役員の利益相反と同じような扱いをした方がよい。利益相反取引は契約してはいけないというものではなく、適切な手続きを取れば契約できるというものである。

9.監事に報酬を支払っているのか?

多くのNPO法人では、監事に対して監事監査の報酬を支払っていない。公益法人等では報酬を支払っているケースもあるようだ。

10.NPO法人として揃えるべき規程は?

特に決まったものはないが、法令で求められるものを最初に揃えるとよい。例えば、個人情報保護規程や、文書管理規程(法令で定められている保存期間がある)、就業規則など。その次に、意思決定や会計に関するルールを明確にするために、事務局規程や経理規程があるとよい。

 

■もし、今年の監事監査で聞くとしたら、どんな質問をする?
Meetupの中で、参加者のみなさんにチャットで回答していただいたものを要約したものです。

【指摘の大枠】
・法改正のあったポイントを確認する。
・職員の人数が少ない中で、不正が起こらないようにどのようなチェックの仕組みを作っているか?

【ハラスメント】
・活動時にハラスメントに感じるような事案を見聞きしたことはあるか?
・ハラスメントの事案は?
・パワハラ防止の対応は?

【情報・セキュリティ】
・情報管理体制は?
・SNS利用を含む情報セキュリティは?
・個人情報保護は?
・4月1日から適用が始まった改正個人情報保護法に対応して、プライバシーポリシーの記載や内部の取り扱い、問合せ対応は十分かどうか?
・サイバーセキュリティーについての対応は?

【リスク管理】
・事業継続のリスクへの備えは?
・資金が枯渇しないために銀行との良好な関係には何が必要と考えるか?
・SNSで炎上するリスクのある投稿を理事がしていないかどうか?
・昨年後半から様々な物の価格が高騰し、最近は円安も進んでいる。予算と実績とに乖離があった場合、価格高騰の影響や対策をどうしているか?

【コロナ対応】
・コロナ対応をどのようにしたのか?
・コアメンバーがコロナに罹ったときの対応は?
・職員の家族がコロナ感染した場合の出社ルールや休業時の保障はどうなっているか?

【職員対応】
・職員が介護の問題を抱えることも想定されるが、その対応は?
・リモートワークが進む中で、職員の心身の健康をケアするためにやっている事があるか?勤務ルール上の課題は出ていないか?