「私たちが共に住む社会を創る」
小学校時代のほとんどを過ごした横須賀市田浦町には「社会館」があり、そこで習字教室に通ったり、園庭で友達と日が暮れるまで遊んだりした。その社会館の館長先生は私たちをやさしく見守り、話しかけてくれていた。
50年間館長を務め、すでに引退していた館長先生を2018年に訪問し、ソーシャルセクターにキャリアシフトすることを報告した。館長先生は相変わらず、優しく、でもしっかりとお話してくださった。日本では行政による社会サービスがあまりにも充実し、また、働く人はほとんどの時間を会社で過ごしている。そのため、社会は国と会社で成り立っているものと思い、市民が自ら社会をつくることを忘れてしまっているところがある。NPOは市民が社会を創るための組織体であり、その働きが大きくなることは、人が社会を創って生きる上で大切なことだ、とキャリアシフトすることを応援してくださった。
確かにビジネスセクターの同僚や知り合いの中にはNPOの活動を良く知らない人が多くいる。中には一定の不信感を持っている人がいることも否めない。一方、一緒にNPOの支援に取り組んでくださる人も多くいる。関わり始めると、それまで関心を持っていなかった社会課題が身近に感じられるようになり、その課題に取り組むNPOのメンバーとの信頼関係ができていくところを見てきた。
より多くの市民が、行政や会社任せにせず、私たちが共に住む社会を創ることに主体的に関わることを願っている。そうすることで信頼したり、応援したりするNPOも増えていくのではないかと期待もしている。
【 (一社)ソーシャル・インベストメント・パートナーズ 代表理事兼CEO 鈴木 栄(JCNE理事)】
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