NPOの信頼を考える
「信頼できるNPOを知りたい」「この団体が信頼できるか知りたい」
NPO支援の仕事を長くしていると、知り合いの企業関係者等からこんな依頼を受けることがよくあります。詳しく話を聞くと、信頼できるNPOの具体的なイメージを初めから持っていることは少ないようです。NPOのことを知り理解しながら自分なりの信頼できるNPO像を作り上げて、それにふさわしい団体を見つけるというプロセスが必要になってきます。
辞書によれば、信頼とは「信じて頼りにすること。」(デジタル大辞泉)とあります。NPOに対する信頼は、お金や思いを託す寄付者や支援者側が託される側のNPOを信じて頼りにすることです。そこには、共感だけではなく、託される側の実力や責任能力の確認が発生します。NPOへの信頼は、思いを実現してくれるという期待の表れです。
NPOの信頼の第一歩は、団体や活動を理解することです。団体の活動に参加したり、関係者に話を聞いたり、団体の会報誌を読んだりして、団体のことを知りましょう。NPOとの関係が出来てくる中で、自分の中に「信頼できるNPO」のイメージが明確になってきます。そのイメージにふさわしい団体かどうかが信頼のポイントになります。
次のステップはネットの情報です。ネットのおかげで、直接活動に参加しなくても、完全とは言えませんが、団体を理解することができます。団体の情報発信を見る、代表者のインタビュー記事を読む、ブログやSNSで日々の活動を知るなど、団体や活動を理解する方法があります。
リアルとネットを通じてNPOとの関係性を構築していくことで、自分なりのNPO像が出来て、信頼の判断基準となります。その上で、JCNEのようなNPOの第三者評価機関の評価情報も組み合わせて活用していくことは有効な方法です。信頼とは、本来感覚的なものであり、説明したり定義づけしたりするのが難しいものです。その信頼をフレームワークで説明できるようにしたものが組織評価です。自らが考えた信頼の基準に、第三者による信頼情報を組み合わせることで、より適切にNPOの信頼を確認することができます。
信頼できるNPOを見つけたいと思った時には、ぜひこの方法を意識して実践してみてください。
【(一財)非営利組織評価センター 業務執行理事 山田 泰久 】
プロフィール
1996年日本財団に入会。2009年から公益コミュニティサイト「CANPAN」の担当になり、NPO×情報発信、助成金、IT活用、寄付をテーマに様々なNPO支援の活動に取り組む。 2016年4月、(一財)非営利組織評価センター(JCNE)の設立とともに、業務執行理事に就任し、非営利組織の組織評価・認証制度の普及にも取り組んでいる。 |